2006年03月05日

JIS規格 ばね用冷間圧延鋼帯 JIS G 4802:2005/薄板ばね,CSP,ぜんまいばね,調質,記号,硬さ,SK,SUP,バネ,試験など

まだ続きます、長井技研ホームページの更新情報。

資料館』にJISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語 などについて、JIS規格本文の内容を抜粋してまとめました。
今回追加した内容は、

ばね用冷間圧延鋼帯(S50C-CSP、SK85-CSP(SK5-CSP)、SK95-CSP(SK4-CSP)、SUP10-CSP など)

ということで、以下のJIS規格本体の内容をまとめています。

JIS G 4802:2005 ばね用冷間圧延鋼帯 Cold-rolled steel strips for springs

資料館』 の 『3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など』 のコンテンツとして追加しています。
こちらのリンクからどうぞ。

資料館

3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など

JIS G 4802:2005 ばね用冷間圧延鋼帯
Cold-rolled steel strips for springs

JIS規格 『JIS G 4802:2005 ばね用冷間圧延鋼帯』 本文では、主として 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯について規定されています。ただし、鋼帯から切断した切板についても、この規格が適用されます。

詳しくはこちらのJIS規格、 『JIS G 4802:2005 ばね用冷間圧延鋼帯』 からどうぞ。

よろしければこちらもご参考に。

>> 板金加工・精密板金の材料
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尚以下にも、JIS規格、 『JIS G 4802:2005 ばね用冷間圧延鋼帯』 の内容について記載しておきます。


JIS規格 JIS G 4802:2005 ばね用冷間圧延鋼帯


1.適用範囲

この規格は、主として 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯(以下、鋼帯という。)について規定する。
ただし、鋼帯から切断した切板についても、この規格を適用する。

備考: この規格の対応国際規格を、次に示す。なお、対応の程度を表す記号は、ISO/ITEC Guide21 に基づき、IDT(一致している)、MOD(修正している)、NEQ(同等でない)とする。

ISO 4960:1999, Cold-reduced carbon steel strip with a carbon content over 0.25% (MOD)


2.引用規格

次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。

* JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
* JIS G 0321 鋼材の製品分析方法及びその許容変動値
* JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
* JIS G 0415 鋼及び鋼製品 - 検査文書
* JIS Z 2244 ビッカース硬さ張試験 - 試験方法


3.種類及び記号

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の種類は 8種類とし、種類の記号は、表1 による。さらに調質区分を示す調質記号は、表2 による。薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の記号は、種類の記号の後に調質記号を付ける。

例 : SK85-CSP A

表1 種類の記号 (括弧内は従来記号)

S50C-CSP
S55C-CSP
S60C-CSP
S65C-CSP
S70C-CSP
SK85-CSP(SK5-CSP)
SK95-CSP(SK4-CSP)

表2 調質区分及び記号

焼なましをしたもの ⇒ A
冷間圧延のままのもの ⇒ R
焼入焼戻しをしたもの ⇒ H
オーステンパーをしたもの ⇒ B


4.製造方法

製造方法は、次による。

1. 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、冷間圧延した鋼帯に冷間圧延を行い、必要に応じて冷間圧延後に熱処理を行う。
2. 調質記号 A 及び R の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、特に指定のない場合、適度に滑らかな表面をもつロールで圧延するブライト仕上げとする。調質記号 H 及び B の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の表面仕上げは、受渡当事者間の協定による。


5.化学成分


5.1 溶鋼分析値

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、11.1 によって試験を行い、その溶鋼分析値は、表3 による。

表3 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の化学成分 (単位 : %) (表は割愛)


6.硬さ

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の硬さは、次による。

a) 調質記号 A の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、11.2 によって試験を行い、その硬さは、表4 による。ただし、薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯 1条内の硬さのばらつきは、30HV 以内とする。

表4 調質記号 A の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の硬さ

S50C-CSP ⇒ 180以下(HV)
S55C-CSP ⇒ 180以下(HV)
S60C-CSP ⇒ 190以下(HV)
S65C-CSP ⇒ 190以下(HV)
S70C-CSP ⇒ 190以下(HV)
SK85-CSP ⇒ 190以下(HV)
SK95-CSP ⇒ 200以下(HV)
SUP10-CSP ⇒ 190以下(HV)

b) 調質記号 R、H 及び B の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の硬さ(中心値)は、表5 の範囲で指定してもよい。
その場合の指定の硬さの許容差は、調質記号 R の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は ±20HV、調質記号 H 及び B の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は ±25HV とする。ただし、薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯 1条内の硬さのばらつきは、30HV 以内とする。

表5 調質記号 R、H 及び B の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の硬さ(中心値)の指定してよい範囲 (表は割愛)


7.内部品質

内部品質は、次による。

1. 調質記号 A 及び R の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の顕微鏡組織は、通常、均一な球状炭化物が分布し、網目状炭化物の残留がなく、有害な非金属介在物及び偏析があってはならない。
2. 調質記号 H 及び B の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、有害な非金属介在物及び偏析があってはならない。


8.形状・寸法及びその許容差

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の形状・寸法及びその許容差は、次による。

a) 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の標準厚さ及び厚さの許容差は、表6 による。
ただし、厚さ4mmを超える薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯、又は幅500mm以上の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の厚さの許容差は、受渡当事者間の協定による。
なお、注文者は、幅80mm未満の場合、許容差 ET を指定してもよい。厚さを測定する位置は、薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の縁から10mm以上内側の任意の点とし、幅が20mm以下の場合は、幅の中央部とする。ただし、許容差 ET の場合、注文者は、厚さを測定する位置を指定してもよい。

表6 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の標準厚さ及び厚さの許容差(単位 : mm) (表は割愛)

b) 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の幅の許容差は、スリットエッジの場合、表7 による。ただし、厚さ4mmを超える薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯、又は幅500mm以上の薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の幅の許容差は、受渡当事者間の協定による。

表7 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の幅の許容差 (単位 : mm) (表は割愛)

c) 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の横曲がり(1)の最大値は、1mの長さにつき 表8 の値を超えてはならない。

表8 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の横曲がりの最大値 (単位 : mm) (表は割愛)

d) 切板の長さの許容差は、表9 による。ただし、幅500mm以上の切板の長さの許容差は、受渡当事者間の協定による。

表9 切板の長さの許容差 (単位 : mm) (表は割愛)


9.塗油

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、特に指定のない限り塗油する。


10.外観

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、表面が滑らかで、使用上有害な脱炭、ひずみ、さび、きず、はがれ、耳われなどの欠点があってはならない。


11.試験


11.1 分析試験

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の分析試験は、次による。

a) 分析試験の一般事項

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の化学成分は、通常、溶鋼分析によって求め、分析試験の一般事項は、JIS G 0404 の 8.(化学成分) による。

b) 分析試料の採り方

分析試料の採り方は、次による。

1. 溶鋼分析 : 試料の採り方は、JIS G 0404 の 8.(化学成分) による。
2. 製品分析 : 注文者の要求によって製品分析を行う場合の製品分析試料の採り方は、JIS G 0321 の 4.(分析用試料採取方法) による。

c) 分析方法

分析方法は、JIS G 0320 による。製品分析方法は、JIS G 0321 による。


11.2 硬さ試験

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の硬さ試験は、次による。

a) 分析試験の一般事項

試験の一般事項は、JIS G 0404 の 9.(機械的性質) による。ただし、供試材の採り方は、JIS G 0404 の 7.6(試験片採取条件及び試験片) の A類とする。

b) 供試材及び試験片の数

供試材は、同一溶鋼、同一調質区分及び同一厚さごとに1個以上をとり、供試材1個から試験片1個を作る。

c) 試験方法

試験方法は、JIS Z 2244 による。


12.検査


12.1 検査

薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の検査は、次による。

1. 検査の一般事項は、JIS G 0404 による。
2. 化学成分は、5.に適合しなければならない。
3. 硬さは、6.に適合しなければならない。
4. 内部品質は、7.に適合しなければならない。
5. 形状、寸法及び質量は、8.に適合しなければならない。
6. 外観は、10.に適合しなければならない。


12.2 再検査

硬さ試験で合格とならなかった薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、JIS G 0404 の 9.8(再試験)によって、再試験を行い合否を決定してもよい。


13.表示

検査に合格した薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯は、1包装ごとに次の項目を適切な方法で表示する。ただし、質量は、出荷ロットごとでもよい。

1. 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の記号
2. 寸法(2)
3. 質量
4. 製造業者名又はその略称
5. 厚さの許容差記号 ET (適用した場合)

注(2) 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯の寸法は、厚さ及び幅を表示する。切板の寸法は、厚さ、幅及び長さを表示する。


14.報告

あらかじめ注文者の要求がある場合には、製造業者は、検査文書を注文者に提出しなければならない。この場合、報告は、JIS G 0404 の 13.(報告) による。検査文書の種類は、特に指定のない場合は、 JIS G 0415 の 表1(検査文書の総括表) の 記号 2.3(受渡試験報告書)又は 3.1.B(検査証明書 3.1.B) とする。


【附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表】 (表は割愛)





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