2006年03月09日

JIS規格 鉄鋼用語(製品及び品質) JIS G 0203:2000/鋼,鋼板,鋼材,炭素鋼,合金鋼,鋼帯,ステンレス,仕上げ,加工,めっき鋼板,冷間,圧延,熱処理など

ご紹介したい製品サンプルもだいぶ溜まってしまってるのですが、とりあえず・・・
まだ続きます、長井技研ホームページの更新情報です。

資料館』にJISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語 などについて、JIS規格本文の内容を抜粋してまとめました。
今回追加した内容は、

鉄鋼用語(鋼の種類、形状・製造法・用途別鋼材、熱処理用、材質、品質)

ということで、以下のJIS規格本体の内容をまとめています。

JIS G 0203:2000 鉄鋼用語(製品及び品質) Glossary of terms used in iron and steel (Products and quality)

資料館』 の 『3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など』 のコンテンツとして追加しています。
こちらのリンクからどうぞ。

資料館

3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など

JIS G 0203:2000 鉄鋼用語(製品及び品質)
Glossary of terms used in iron and steel (Products and quality)

JIS規格 『JIS G 0203:2000 鉄鋼用語(製品及び品質)』 本文では、主として 圧延、鋳造、又は鍛造された鋼の用途別製品及び品質に関する主な用語及び定義について規定されています。

詳しくはこちらのJIS規格、 『JIS G 0203:2000 鉄鋼用語(製品及び品質)』 からどうぞ。

よろしければこちらもご参考に。

>> 板金加工・精密板金の材料
>> 材料の豆知識

尚以下にも、JIS規格、 『JIS G 0203:2000 鉄鋼用語(製品及び品質)』 の内容について記載しておきます。


JIS規格 JIS G 0203:2000 鉄鋼用語(製品及び品質)


1.適用範囲

この規格は、主として 圧延、鋳造、又は鍛造された鋼の用途別製品及び品質に関する主な用語及び定義について規定する。


2.引用規格

次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。

* JIS G 0561 鋼の焼入性試験方法
* JIS R 6001 研剤といし用研磨剤の粒度


3.分類

鉄鋼用語(製品及び品質)の分類は、次による。

1. 鋼の種類、粗鋼、鋼片
2. 鋼材(形状別、製造法別)
3. 鋼材(用途別)
4. 鋼材(熱処理用鋼、特殊用途鋼)
5. 材質及びその他の品質


4.用語及び定義

備考: 用語の読み方が紛らわしいものは、用語の下に読み方を括弧で示す。

※以下、用語には便宜上、番号を付けて示す。
※括弧内に示す用語の対応英語は、参考である。


a) 鋼の種類、粗鋼、鋼片


1100 : 純鉄 (pure iron)
炭素その他の不純物元素が非常に少ない鉄。不純物元素の限界についての明確な区分はないが、炭素含有量0.02%程度まで純鉄とされている。電解鉄、アームコ鉄、カーボニル鉄、還元鉄は、純鉄として取り扱われている。

1101 : 電解鉄 (electrolytic iron)
鉄塩水溶液の電解によって得られる純鉄。通常、含有される不純物元素は炭素0.005%以下、けい素0.005%以下、マンガン0.005%以下、りん0.004%以下、硫黄0.005%以下である。

1102 : 炭素鋼 (carbon steel)
鉄と炭素の合金で炭素含有量が通常 0.02〜約2%の範囲の鋼。なお、少量のけい素、マンガン、りん、硫黄などを含むのが通常である。便宜上、炭素含有量又は硬さ(強度も含まれる)によって炭素鋼は更に次のように分類される場合がある。
■ 炭素含有量による分類
低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼
■ 硬さによる分類
極軟鋼、軟鋼、硬鋼

1103 : 合金鋼 (alloy steel)
鋼の性質を改善向上させるため、又は所定の性質をもたせるために合金元素を1種又は2種以上含有させた鋼。合金元素の含有量の基準は ISO と若干異なるが、関税協力理事会(Customs Co-operation Council)の分類では化学成分が次の数値以上の鋼をいう。
・Al:0.3%、 ・B:0.0008%、 ・Cr:0.3%、 ・Co:0.3%、 ・Cu:0.4%、・Pb:0.4%、 ・Mn:1.65%、 ・Mo:0.08%、 ・Ni:0.3%、 ・Nb:0.06%、・Si:0.6%、 ・Ti:0.05%、 ・W:0.3%、 ・V:0.1%、 ・Zr:0.05%、 ・その他S、P、C、Nを除く:0.1%
※上記の記号は、合金元素を表す。
便宜上、合金元素含有量の多少によって、高合金鋼又は低合金鋼ということもある。

1104 : 超合金 (superalloy)
鋼の耐食性又は耐熱性を改善するため、合金元素を多量に添加し、鉄分が約50%以下となっている合金。

1121 : リムド鋼 (rimmed steel)
鋳型内で溶鋼中の酸素と炭素が作用して一酸化炭素を発生し、溶鋼が特有の沸騰かくはん(攪拌)運動(リミングアクションという。)をしながら凝固した鋼。脱酸剤としてフェロマンガン、少量のアルミニウムなどを加えて造った鋼。表層部は清浄であるが、偏析がある。

1122 : キャップド鋼 (capped steel)
未脱酸の溶鋼を鋳型に注入後間もなく脱酸剤を加えるか、又は鋳型にふたをし、リミングアクションを早めに強制的に終了させ内部を静かに凝固させた鋼。前者をケミカルキャップド鋼、後者をメカニカルキャップド鋼という。キャップド鋼は表層部をリムド鋼のような清浄なものとするとともに内部をセミキルド鋼のような偏析の少ない状態とし、かつ気泡によって収縮孔を相殺しようとしたものである。

1123 : セミキルド鋼 (semi-killed steel)
脱酸剤としてフェロマンガン、フェロシリコン、アルミニウムなどの適量を添加して、リムド鋼とキルド鋼の中間程度の脱酸を行った鋼。凝固進行に伴って若干の気泡を発生させ、凝固による収縮孔を少なくしたものである。

1124 : キルド鋼 (killed steel)
フェロシリコンやアルミニウムなどで十分に脱酸を行った鋼。鋳型内での凝固進行中に一酸化炭素を発生せずに静かに凝固し、比較的均質で偏析が少なく気泡もないが、上部中心に収縮孔ができ歩留りはよくない。キルド鋼は更に結晶粒度又は脱酸剤によって次のように分類される。
a) 結晶粒度による分類
粗粒キルド鋼:オーステナイト結晶粒度で粒度番号5未満のキルド鋼をいう。
細粒キルド鋼:オーステナイト結晶粒度で粒度番号5以上のキルド鋼をいう。
b) 脱酸剤による分類
シリコンキルド鋼
アルミ(ニウム)キルド鋼
シリコンアルミ(ニウム)キルド鋼

参考:

脱酸 (deoxidation)
けい素、マンガン、アルミニウムなどの元素を添加して溶鋼中に含まれている酸素を除去すること。鋼は脱酸の程度によって、キルド鋼、セミキルド鋼、キャップド鋼、リムド鋼に分類される。


b) 鋼材(形状別、製造法別)


2000 : 鋼材 (steel products)
圧延、鍛造、引抜き又は鋳造などの各種の方法で所要の形状に加工された鋼の総称。鋼塊は含まない。

2001 : 再生鋼材 (velled steel)
再生用鋼くず及び鋼材製造途上に発生する鋼くずの再圧延によって製造された鋼材。


c) 鋼材(用途別)


3101 : 絞り用鋼板 (steel sheets for drawing)
自動車用部品、電気機械部品、車両、建築部材その他、冷間成形性を重視して製造された薄鋼板。

3102 : 深絞り用鋼板 (steel sheets for deep drawing)
自動車、電気機械部品その他、冷間での良好な深絞り加工性及び絞り加工後の表面の肌荒れ防止を重視して製造された薄鋼板。

3103 : 非時効性深絞り用鋼板 (non-ageing steel sheets for deep drawing)
通常アルミ(ニウム)キルド処理などによって、6ヶ月程度の非時効性を保証した冷間圧延深絞り用鋼板。

3104 : 高張力冷延鋼板 (cold rolled high tensile strength steel sheets)
比較的良好な加工性を維持しつつ、引張強さを高めた冷間圧延鋼板。通常、引張強さ340N/mm2以上のものをいう。なお、降伏点を低くしたもの、塗装焼付温度で硬化するものもある。

3105 : ほうろう用鋼板 (cold rolled carbon steel sheets for vitreous enameling)
ほうろうがけに適するように製造された鋼板又は鋼帯。通常、脱炭鋼板が用いられる。

3106 : ぶりき原板 (black plates)
ぶりきに適するように製造された低炭素鋼の鋼板又は鋼帯。通常、MR、L 及び D鋼種が用いられる。

3107 : しま鋼板(縞鋼板) (checkered plates)
圧延ロールの表面に刻み目[縞目(しまめ)]を入れて鋼板の片面にすべり止めなどの模様を規則的に浮き出させた鋼板。床板などに用いられる。

3151 : 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 [通称:亜鉛鉄板] (hot-dip zinc-coated steel sheets/strip)
建材用、家電用、自動車用等の防錆(防せい)性を高めるため、溶融亜鉛めっきを行った鋼板及び鋼帯。板には平板と波板とがある。表面は通常、スパングルと称する花のような模様があるが、これを小さくしたもの又は消したものもある。また、再加熱して、亜鉛層を十分に鉄と合金化させたもの(ガルバニール、主に加工用)がある。

3152 : 溶融アルミニウム - 亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯 (hot-dip aluminium-zinc alloy coated steel sheets/strip)
主に建材用の高防錆性(防せい性)をもつ、溶融アルミニウム-亜鉛合金めっきを行った鋼板及び鋼帯。
・約5%アルミニウムと亜鉛の合金めっきをしたもの
・約55%アルミニウムと亜鉛の合金めっきをしたもの
がある。

3153 : 溶融アルミニウムめっき鋼板及び鋼帯 (hot-dip aluminium-coated steel sheets/strip)
溶融アルミニウムめっきを行った鋼板及び鋼帯。耐熱性、耐候性にすぐれている。

3154 : ターン鋼板及び鋼帯 (terne coated steel sheets/strip)
自動車用、電気製品用として、lすず鉛合金をめっきした鋼板及び鋼帯。

3155 : 電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 (electrolytic zinc-coated steel sheets/strip)
家電製品用等の防錆性(防せい性)を高めるため、両面又は片面に電気亜鉛めっきを行った鋼板及び鋼帯。

3156 : ぶりき (tinplate)
冷間圧延によって製造したぶりき原板に、食缶用、飲料缶用などの耐食性を高めるため、すずめっきを行った鋼板又は鋼帯。めっき方法によって電気めっきぶりきと熱せきぶりきとがある。電気めっきブリキには一回圧延製品と二回圧延製品がある。

3157 : ティンフリースチール (chromium plated tinfree steel)
冷間圧延によって製造したぶりき原板に、食缶用、飲料缶ようなどの耐食性を高めるため、電解クロム酸処理などを行った鋼板又は鋼帯。製品には一回圧延製品と二回圧延製品がある。

3158 : 塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯[通称:着色亜鉛鉄板] (painted hot-dip zinc coated steel sheets/strip)
主に建材用として、溶融亜鉛メッキ鋼板の両面又は片面に耐食性・耐候性のある着色塗料を塗装し、焼き付けた鋼板及び鋼帯。

3159 : 塗装溶融アルミニウム - 亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯 (painted hot-dip aluminium-zinc alloy coated steel sheets/strip)
主に建材用として、溶融アルミニウム-亜鉛合金メッキ鋼板の両面又は片面に耐食性・耐候性のある着色塗料を塗装し、焼き付けた鋼板及び鋼帯。

3160 : 塩化ビニル鋼板 (polyvinyl chloride-coated steel sheets)
主に建材用として、冷間圧延鋼板又は亜鉛めっき鋼板の両面又は片面に塩化ビニル樹脂を塗装又は被覆した鋼板。

3201 : 配管用鋼管 (steel tube for piping)
気体、液体などの輸送用の配管に用いられる鋼管。

3202 : ラインパイプ (line pipe)
油田、製油所、港、消費地などの間をパイプラインで直結し、天然ガス、高圧都市ガス、石油及び石油製品などを輸送するのに用いられる鋼管。

3203 : 熱伝達用鋼管 (steel tube for boiler and heat exchanger)
ボイラ、熱交換器などの管の内外で熱の授受を行うことを目的とする所に用いられる鋼管。

3204 : ヘッダ用鋼管 (steel tube for header of boiler)
各種ボイラの水壁用、過熱器用、節炭器用のヘッダ(管寄せ)に用いられる鋼管。鍛造又は圧延によって製造した大径厚肉管が用いられる。

3205 : 構造用鋼管 (steel tube for structural purposes)
土木、建築、橋、鉄塔及び機械部品用として強度を重視して製造された鋼管。

3206 : 油井用鋼管(ゆせいようこうかん) (steel pipe for oil well casing, tubing and drilling)
油井又はガス井戸の掘削、原油又は天然ガスの採取などに用いられるケージング、チュービング、ドリルパイプの総称。 ケージングとは、油又はガス井戸壁の崩壊を防ぎ、また、水などの物質の浸入を防ぐために油又はガス井戸内に挿入する鋼管。
チュービングとは、油井戸が仕上げられてからケージングの中に油層まで挿入され、ポンプによって油を地上まで吸い上げるのに用いられる鋼管をいう。
ドリルパイプとは、下方先端に取り付けられたドリルに地上から回転運動を伝えたり、また、掘くずの排除、ドリルの冷却用の汚水を送り込むなどの用途に用いられる鋼管をいう。

3207 : 試すい用鋼管 (steel tube for drilling)
温泉、井戸などの試すい用のボーリングロッド、ケージング、チュービングに用いられる鋼管。

3208 : 高圧ガス容器用鋼管 (steel tube for high pressure gas cylinder)
圧縮ガス、液化ガス、溶解アセチレンなどの高圧ガスを充てんする鋼製高圧ガス容器に用いられる鋼管。

3209 : 鋼製電線管 (rigid steel conduits)
電気配線において、電線を保護するために用いられる鋼管。

3301 : 軟鋼線材 (low carbon steel wire rods)
炭素含有量0.25%以下の炭素鋼線材。鉄線(普通鉄線・なまし鉄線・亜鉛めっき鉄線・くぎ用鉄線)、亜鉛めっき鉄より線などの製造に用いられる。

3302 : 硬鋼線材 (high carbon steel wire rods)
炭素含有量0.24〜0.86%の炭素鋼線材。硬鋼線、オイルテンパ線、PC硬鋼線、亜鉛めっき鋼より線、ワイヤロープなどの製造に用いられる。

3303 : ピアノ線材 (piano wire rods)
通常、炭素含有量0.60〜0.95%の良質な高炭素鋼線材。ピアノ線、オイルテンパ線、PC鋼線、PC鋼より線、ワイヤロープなどの製造に用いられる。

3304 : 被覆アーク溶接棒心線用線材 (wire rods for core wire of covered electrode)
主として軟鋼のアーク溶接に使用する溶接棒の心棒の製造に用いられる低炭素鋼線材。

3305 : 冷間圧造用炭素鋼線材 (carbon steel wire rods for cold heading and cold forging)
冷間圧造用炭素鋼線の製造に用いられる炭素鋼線材。炭素0.53%以下及びマンガン1.65%以下を含有し、脱酸の方法によって、リムド鋼、キルド鋼、アルミキルド鋼などがある。

3306 : 冷間圧造用ボロン鋼線材 (carbon steel wire rods for cold heading and cold forging)
冷間圧造用ボロン鋼線の製造に用いられるボロン鋼線材。炭素0.40%以下及びマンガン1.65%以下を含有し、更に焼入性を向上させるため、微量のボロンを含有させた鋼。

3401 : 鉄線 (low carbon steel wires)
軟鋼線材を用い伸線など冷間加工して仕上げられた鋼線。これに熱処理を行ったもの及びローラなどで異形加工を行うものの総称。くぎ、金網、亜鉛めっき鉄線などの製造に用いられる。

3402 : 硬鋼線 (hard drawn steel wires)
硬鋼線材を用い、通常、熱処理後伸線など冷間加工して仕上げられた鋼線。ばね、針、スポークなどの製造に用いられる。

3403 : ピアノ線 (piano wires)
ピアノ線材を用い、通常、パテンチング後伸線など冷間加工して仕上げられた鋼線。高級ばね、タイヤコートなどの製造に用いられる。

3404 : 被覆アーク溶接棒心線 (core wires for covered electrode)
被覆アーク溶接棒心線材を用い、伸線など冷間加工して仕上げられた鋼線。

3405 : 冷間圧造用鋼線 (steel wires for cold heading and cold forging)
線材を用い、通常、冷間引抜き又は伸線などの冷間加工若しくはこれらを熱処理との組合せによって仕上げられた鋼線。
使用する材料の種類によって冷間圧造用炭素鋼線及び冷間圧造用ステンレス鋼線などがある。冷間圧造によって、ボルト、ナット、小ネジ、タッピンねじなどの締結部品及び自動車、電気機器などの各種機械部品を製造する場合に用いられる。

3406 : 冷間圧造用ボロン鋼線 (boron steel wires for cold-heading and cold-forging)
冷間圧造用ボロン鋼線材を、冷間加工によって仕上げられた鋼線。又は線材を冷間加工後、球状化焼なましを行い、更に、冷間加工によって仕上げられた鋼線。又は、線材を球状化焼なまし後、冷間加工によって仕上げられた鋼線。

3407 : オイルテンパ線 (oil tempered wires for spring, oil hardened and temperedwires)
線材を用い、伸線などの冷間加工後、連続的にまっすぐな状態で油などの媒体で焼入れ後、焼戻しを行って仕上げられた鋼線。
使用する材料の種類によって、炭素鋼オイルテンパ線、クロムバナジウム鋼オイルテンパ線、シリコンクロム鋼オイルテンパ線、シリコンマンガン鋼オイルテンパ線などがある。
内燃機関の弁ばね、懸架ばね、一般ばねなどに用いられる。

3408 : 亜鉛めっき鉄線 (zinc-coated low carbon steel wires)
軟鋼線材を用い冷間加工し、必要に応じてこれに焼なましを行った後、溶解亜鉛めっき又は電気亜鉛めっきを行って仕上げられた鋼線。又はめっき後更に冷間加工して仕上げられた鋼線。ひし形金網、じゃかご、加工部品などに用いられる。

3409 : 亜鉛めっき鋼線 (zinc-coated lsteel wires)
硬鋼線材を用い熱処理を行った後、冷間加工し、必要に応じて熱処理を行い、これに溶解亜鉛メッキ又は電気亜鉛メッキを行って仕上げられた鋼線。又は更に冷間加工して仕上げられた鋼線。より線、ワイヤロープなどに用いられる。

3410 : PC鋼線 (uncoated stress-relieved steel wires for prestressed concrete)
ピアノ線材を用い、通常、パテンチング後伸線などの冷間加工及びブルーイングをして仕上げられた鋼線。プレストレスコンクリートに用いられる。断面の形状は、円形及び異形がある。

3411 : PC鋼より線 (uncoated stress-relieved steel stands for prestressed concrete)
ピアノ線材を用い、通常、パテンチング後伸線などの冷間加工した線をより合わせしたのち、ブルーイングをして仕上げられた鋼より線。プレストレスコンクリートなどに用いられる。素線の断面の形状は、円形及び異形がある。

3412 : PC硬鋼線 (hard drawn steel wires for prestressed concrete)
硬鋼線材又はこれと同等以上の線材を用い、通常、熱処理後、伸線などの冷間加工し、ブルーイングを行わないで仕上げられた鋼線。プレストレスコンクリートタンク、管、ポールに用いられる。断面の形状は、円形及び異形がある。

3413 : 着色塗装亜鉛めっき鉄線 (precoated color zinc-coated steel wires)
亜鉛メッキ鉄線に耐食性のある着色塗料を均一に塗装し焼き付けて仕上げられた鋼線。主として、ひし形金網に用いられる。

3414 : 塩化ビニル被覆鉄線 (polyvinyl chloride-coated color steel wires)
鉄線又は亜鉛めっき鉄線に塩化ビニルを主体とした樹脂を被覆して仕上げられた鋼線。主として、ひし形金網に用いられる。

3415 : 溶融アルミニウムめっき鉄線 (hot-dip aluminium-coated steel wires)
軟鋼線材を用い、冷間加工した後、又はこれに熱処理(焼なまし)を行った後、溶融アルミニウムメッキをして仕上げられた鋼線。主として金網に用いられる。

3416 : 溶融アルミニウムめっき鋼線 (hot-dip aluminium-coated steel wires)
硬鋼線材を用い、熱処理(パテンチング)後、冷間加工し、溶融アルミニウムめっきをして仕上げられた鋼線。主として土木、建築、電力に用いられる線及びより線。

3501 : 構造用鋼材 (steel for structure)
建築、橋、船舶、車両、その他の構造物用として強度及び必要に応じて溶接性を重視して製造された鋼材。
備考:機械構造用鋼材については、”機械構造用炭素鋼鋼材”、”機械構造用合金鋼鋼材”を参照。

3502 : 耐候性圧延鋼材 (rolled steels with improved atmospheric corrosion resistance)
低合金鋼で大気中における腐食に耐える性質を含銅鋼よりも増加させた圧延鋼材。

3503 : 細径異形PC鋼棒 (small size_deformed steel bars for prestressed concrete)
炭素鋼、合金鋼などのキルド鋼を用い、熱間圧延したのち、焼入焼戻しによって仕上げられた棒鋼。プレストレスコンクリートに用いられる。断面の形状は、異形である。

3504 : 鉄筋コンクリート用棒鋼 (steel bars for concrete reinforcement)
コンクリート補強用として強度及び必要に応じて溶接性、圧接性を重視して製造された棒鋼。丸鋼、異形棒鋼の2種類がある。

3505 : PC鋼棒 (steel bars for prestressed concrete)
炭素鋼、低合金鋼、ばね鋼などキルド鋼を熱間圧延し、その後、ストレッチング、冷間引抜き、熱処理のうち、いずれかの方法又はこれらの組合せにより仕上げられた鋼棒プレストレスコンクリートに用いられる。断面の形状は、円形である。

3506 : ボイラ用鋼材 (steel for boilers)
ボイラ及び圧力容器用として高温強度、溶接性を重視して製造された鋼材。通常、ボイラ及び圧力容器の主要部分に使用される。

3507 : 圧力容器用鋼材 (steels for pressure vessels)
圧力容器及び高圧設備用として、強度、溶接性及び主として常温でのじん性(靭性)を重視して製造された鋼材。通常、圧力容器の主要部分に使用される。

3508 : 低温用鋼材 (steels for low temperature service)
低温下で使用される容器設備及び構造用として、低温靭性(じん性)及び溶接性を重視して製造された鋼材。使用温度によって炭素鋼、低合金鋼、2.5%Ni鋼、3.5%Ni鋼、9%Ni鋼、オーステナイト系ステンレス鋼などがある。

3509 : 高張力鋼 (high tensile strength steels)
建築、橋、船舶、車両その他の構造物及び圧力容器用として、通常、引張強さ490N/mm2以上で溶接性、切欠きじん性及び加工性も重視して製造された鋼材。自動車用冷延鋼板では引張強さ340490N/mm2以上を高張力鋼という。

3510 : 調質高張力鋼 (quenched and tempered high tensile strength steels)
焼入焼戻しを行うことによって高張力鋼としての性質を与えた鋼材。

3511 : 非調質高張力鋼 (as roned or normalized high tensile strength steels)
圧延のまま、又は焼ならしの状態で高張力鋼としての性質を与えた鋼材。

3601 : レール (rails)
鉄道その他の軌道などに用いられる鋼材。一般用と特殊用に分けられ、更に一般用は普通レールと軽レールに分けられる。特殊用は、車両以外のクレーン、エレベーターなどの軌道として用いられる。地下鉄道などで架線の代わりに用いるレールを第3レールという。通常、1m当たりの質量で表示及び呼称を行う。

3602 : 普通レール (railway rails)
主に鉄道に用いる1m当たりの質量が30kg以上のレール。

3603 : 軽レール (light rails)
土木工事のトロッコ、鉱山などの軽便鉄道に用いる1m当たりの質量が30kg未満のレール

3605 : 圧延輪心 (wrought steel wheel center)
鍛造と圧延によって製造される鉄道車両用車輪の中心部。リムとボスを円板で結ぶ形のもので、ボスの部分には車軸をはめこみ固定され、リムの外周にはタイヤが焼ばめされる。

3606 : 圧延車輪 (wrought steel wheels)
鍛造と圧延によって製造される鉄道車両用の輪心とタイヤを一体にした形の車輪。一体圧延車輪ともいう。

3607 : 鋳鋼車輪 (cast steel wheels)
鋳鋼によって製造される鉄道車両用の輪心とタイヤを一体にした形の車輪。一体鋳鋼車輪ともいう。

3608 : 鋳鋼輪心 (cast wheel center)
鋳鋼によって製造される鉄道車両用車輪の輪心。

3701 : 電磁鋼帯、電磁鋼板 (flat rolled magnetic steel sheet and strip)
鉄損値、磁束密度、透磁率などの磁気特性の優れたけい素鋼板、低炭素鋼板及び純鉄の鋼帯又は鋼板の総称。

3702 : けい素鋼帯、、けい素鋼板 (flat rolled silicon steel sheet and strip)
けい素含有量が0.5〜7%で炭素含有量が極めて低く、熱間又は冷間圧延で製造された優れた磁気特性をもつ電磁鋼帯又は鋼板。

3703 : 方向性電磁鋼帯 (grain-oriented magnetic steel sheet and strip)
けい素鋼の結晶の磁化容易軸を圧延方向に配向させ、優れた磁気特性を持たせた冷間圧延電磁鋼帯。電動機、発電器、変圧器、その他の電気機器に用いられる。なお、配向性を一段と高め、磁気特性を更に向上させたものを高磁束密度方向性電磁鋼帯という。

3704 : 無方向性電磁鋼帯 (non-oriented magnetic steel sheet and strip)
磁気特性に方向性を付与していない電磁鋼帯。電動機、発電器、変圧器、その他の電気機器に用いられる。所期の磁気特性を得るための最終熱処理を製造業者が行わず鋼帯の使用者が行う電磁鋼帯をセミプロセス電磁鋼帯という。

3705 : 電磁軟鉄棒、電磁軟鉄板 (soft magnetic iron bar and sheet)
純鉄又は純鉄に近いもので製造された鉄棒又は鉄板。主として直流機器の鉄心、接極子などに用いられる。

3706 : 磁極用鋼板 (steel sheets for pole core)
降伏点、引張強さ及び磁束密度が高い熱間圧延鋼板。回転電気機器の磁極に用いられる。


d) 鋼材(熱処理用鋼、特殊用途鋼)


4101 : 機械構造用炭素鋼鋼材 (carbon steels for machine structural use)
通常、使用に際し、鍛造、切削、引抜きなどの加工と熱処理を行って所期の性質を得て、機械部品に仕上げられる炭素鋼鋼材。

4102 : 機械構造用合金鋼鋼材 (alloy steels for machine structural use)
通常、使用に際し、鍛造、切削、引抜きなどの加工と熱処理を行って所期の性質を得て、機械部品に仕上げられる合金鋼鋼材。

4103 : H鋼 (H steels)
ジョミニー式一端焼入方法によって焼入端からの一定距離における硬さの上限、下限又は範囲を保証した鋼。

4104 : 窒素鋼 (steels for nitriding)
アルミニウム、クロム、モリブデンなどを含有し、窒化処理して表面硬化させる鋼。

4105 : はだ焼鋼 (steels for case hardening)
低炭素鋼及び低炭素合金鋼で主として浸炭焼入れによって表面硬化させる鋼。

4106 : 強じん鋼 (-)
焼入焼戻しによって強度とじん性を向上させて用いられる鋼。

4201 : ステンレス鋼 (stainless steels)
耐食性を向上させる目的で、クロム又はクロムとニッケルを含有させた合金鋼。一般にはクロム含有量が約10.5%以上の鋼をステンレス鋼といい、主としてその組織によって、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系及び析出硬化系の五つに分類される。

4202 : マルテンサイト系ステンレス鋼 (martensitic stainless steels)
焼入れすることによってマルテンサイト組織となり硬化させることができるステンレス鋼。13%クロム鋼がその代表的なものである。

4203 : フェライト系ステンレス鋼 (ferritic stainless steels)
熱処理によって硬化せずフェライト組織を示すステンレス鋼。18クロム鋼がその代表的なものである。

4204 : オーステナイト系ステンレス鋼 (austenitic stainless steels)
常温においてもオーステナイト組織を示すステンレス鋼。熱処理によって硬化せず、一般に非磁性である。18%クロム8%ニッケル(18-8)鋼がその代表的なものである。

4205 : オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼 (austenitic-ferritic stainless steels)
オーステナイトとフェライトの2相組織を示すステンレス鋼。

4206 : 低炭素ステンレス鋼 (low carbon stainless steels)
炭素含有量を、0.030%以下で、クロム炭化物の析出による耐食性の劣化を改善したステンレス鋼。

4207 : 安定化ステンレス鋼 (stabilized stainless steels)
チタン、ニオブ、ジリコニウム又はそれらの組合せを少量添加し、クロム炭化物の析出による耐食性の劣化を改善したオーステナイト系ステンレス鋼。

4208 : 析出硬化系ステンレス鋼 (precipitation hardening stainless steels)
アルミニウム、銅などの元素を少量添加し、熱処理によってこれらの元素の化合物などを析出させて硬化する性質をもたせたステンレス鋼。

4209 : 快削ステンレス鋼 (free-cutting stainless steels)
りん、硫黄、セレンなどの元素を少量添加して被削性を改善したステンレス鋼。

4210 : 塗装ステンレス鋼板 (precoated stainless steel sheets)
冷間圧延ステンレス鋼板又は鋼帯に有機塗装を焼き付けて仕上げられた鋼板又は鋼帯。主として建築物の屋根、外装、内装などに用いられる。

4301 : 耐熱鋼 (heat resisting steels)
高温における各種環境で耐酸化性、耐高温腐食性又は高温強度を保持する合金鋼。数%以上のクロムのほか、ニッケル、コバルト、タングステンその他の合金元素を含むことが多い。主としてその組織によってマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系及び析出硬化系の四つに分類される。なお、合金元素の総量が約50%を超える場合は一般に超耐熱合金又は耐熱合金若しくは単に超合金と呼ばれる。

4302 : マルテンサイト系耐熱鋼 (martensitic heat resisting steels)
焼入れしてマルテンサイト組織にした後、焼戻しして使用される耐熱鋼。約550℃以下において、オーステナイト系及びフェライト系と比較して強度が高い特徴をもつ。

4303 : フェライト系耐熱鋼 (ferritic heat resisting steels)
フェライト組織を示す耐熱鋼。一般に熱膨張係数が小さく、熱伝導度が大きいため熱応力が小さく、低温度におけるクリープ強さや降伏点が高い特徴をもつ。

4304 : オーステナイト系耐熱鋼 (austenitic heat resisting steels)
オーステナイト組織を示す耐熱鋼。耐高温酸化性と高い高温強度をもち、一般にじん性が高く、成形性、溶接性も優れている。

4305 : 析出硬化系耐熱鋼 (precipitation hardening heat resisting steels)
析出硬化性を与える元素を添加し、熱処理によって優れた高温強度をもつ耐熱鋼。

4306 : バルブ鋼 (valve steels)
クロムのほか けい素、ニッケル、タングステンなどを主要合金元素とし、主として内燃機関用の吸気弁及び排気弁に用いられる耐熱鋼。

4401 : 工具鋼 (tool steels)
金属又は非金属の切削、塑性加工用などの各種ジグ・工具として用いられる鋼の総称。用途が広く、要求性能が多岐にわたるので種類が非常に多い。一般には化学成分及び性能を考慮して炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼に分類される。

4402 : 炭素工具鋼 (carbon tool steels)
0.6〜1.5%の炭素を含有し、特別に合金元素を添加しない工具鋼。

4403 : 合金工具鋼 (alloy tool steels)
炭素鋼にマンガン、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウムなどの合金元素を1種以上添加した工具鋼。炭素工具鋼に対して焼入性、切削性能、耐衝撃性、耐磨耗性、不変形性、耐熱性などを必要に応じて改善した鋼である。

4404 : 高速度工具鋼 (high speed tool steels)
高炭素鋼にクロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、コバルトなどの合金元素を比較的多量に添加し、切削工具及び金型などに用いられる工具鋼。特に高速切削に適し、摩擦熱による高温によく耐える。一般に含有成分によって、タングステン系とモリブデン系とに分けられる。

4405 : 中空鋼 (hollow drill steels)
主として、さく岩機用ロッドに使用される中空の棒鋼。断面形状は丸形、六角形などであり、鋼種は主として炭素工具鋼、強じん鋼、肌焼鋼(浸炭処理を行って使用)などが用いられる。

4501 : ばね鋼 (spring steels)
炭素系、シリコンマンガン系、マンガンクロム系、クロムバナジウム系などの鋼で、主として熱間で重ね板ばね、コイルばねなどに成形し熱処理を行ってばね性を付与する鋼。広義のばね鋼としては、ピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線、オイルテンパー線、冷間圧延鋼帯などのように冷間加工及び熱処理によってばね性能を高め、そのまま線ばね、薄板ばねなど小物ばねに成形する鋼も含む。

4502 : 快削鋼 (free cutting steels)
りん、硫黄、鉛、セレン、テルル、カルシウムなどを単独又は複合で添加し、被削性を付与した鋼。

4503 : 軸受鋼 (bearing steels)
転がり軸受の球、ころ、内輪、外輪に使用される合金鋼。高速で変動する繰り返し荷重に耐える必要性から高い疲れ強さと耐磨耗性が要求されるので、鋼の清浄度や組織の均一性を重視して製造される。一般に高炭素低クロム鋼が代表的鋼種である。

4504 : 磁石鋼 (magnetic steels)
クロム、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどの合金元素を添加した合金鋼で、焼入硬化、析出硬化などによって保磁力と残留磁束密度の高い永久磁石特性をもつ鋼。

4505 : 高マンガン鋼 (austenitic high manganese steels)
一般にマンガン11%以上を主合金成分とし、オーステナイト組織を示す非磁性の合金鋼。冷間加工による硬化が大きいので耐磨耗性部品に用いられる。また、非磁性という特性をもつことから電磁気部材にも用いられる。

4506 : 非磁性鋼 (non-magnetic steels)
炭素、マンガン、ニッケル、クロム、窒素などを主な合金成分とし、オーステナイト組織を示す非磁性の合金鋼。組成的には、高マンガン系、高ニッケル系およびこれらの中間タイプの3種に大別される。例えば、発電機、継電器などの電磁気部材、核融合設備及びリニアモーターカーの部材などに用いられる。

4520 : クラッド鋼 (clad steels)
この範疇(範ちゅう)には、耐磨耗性又は耐化学腐食性のある鋼又は合金とクラッドした鋼板及び鋼帯がある。また、通常は圧延で、しかし、ときには爆着又は他の溶接プロセスによって、耐磨耗性又は耐化学腐食性のある鋼又は合金を接着した鋼板及び鋼帯も含まれる。合わせ鋼材ともいう。なお、極軟鋼、軟鋼、低合金鋼などを母材の片面に合わせ材をクラッドさせたものを片面クラッド鋼、両面に合わせ材をクラッドさせたものを両面クラッド鋼という。


e) 材質及びその他の品質


5101 : 溶鋼分析値[とりべ分析値](1) (cast analysis, ladle analysis)
一般に溶鋼がとりべから鋳型に注入され凝固するまでの過程で採取した分析試料について行った分析値。溶鋼の平均化学成分を示し、鋼材の化学成分は、溶鋼分析値(又はとりべ分析値)で示される。

5102 : 製品分析値 (product analysis)
鋼材から採取した分析試料について行った分析値。

5103 : 炭素当量 (carbon equivalent)
炭素以外の元素の影響力を炭素量に換算したもの。引張強さに対する炭素当量、溶接部最高硬さに対する炭素当量などがよく用いられる。JISでは溶接性に関し次の式を採用している。
炭素当量% = C+(Mn/6)+(Si/24)+(Ni/40)+(Cr/5)+(Mo/4)+(V/14)

5210 : 機械的性質 (mechanical properties)
引張強さ、降伏点、伸び、絞り、硬さ、衝撃値、疲れ強さ、クリープ強さなど、機械的な変形及び破壊に関する諸性質。

5220 : 溶接性 (weldability)
鋼材の材質が溶接に適しているかどうかの程度。

5231 : ぜい性 (brittleness)
一般に硬くてもろく、変形能の小さい性質。通常、衝撃試験における衝撃値の大小又は破面の状況によって比較される。

5232 : じん性 (toughness)
粘り強くて、衝撃破壊を起こしにくいかどうかの程度。

5240 : 加工性 (workability)
用途に応じた各種の加工に適しているかどうかの程度。

5241 : 曲げ性 (bendability)
割れを生ずることなく曲げ得る程度。

5242 : 成形性 (formability)
割れを生ずることなく所要の形状に成形し得る程度。

5243 : 深絞り性 (deep drawability)
ダイス面上の素材がダイス孔穴内へ絞り込まれ得る程度。その程度によって、絞り性、深絞り性、超深絞り性に区分して呼ばれる。

5244 : 複合成形性 (combined formability)
深絞り、張出し、伸びフランジ、曲げなどの組合せ成形を行い得る程度。例えば、絞り-張り出し複合成形性などがある。

5245 : 張り出し性 (stretchability)
平板又は既に成形された製品の一部をふくらまし、突き出して所定の形状寸法に成形し得る程度。

5246 : 非時効性 (non-ageing properties)
機械的性質及び加工性が実用上支障をきたすような経時変化をしない性質。一般に深絞り用冷間圧延鋼板について要求される性質で、通常、加工の際にストレッチャストレーンを生じない性質をいう。

5247 : 引抜加工性 (drawability)
線、棒及び管を、ダイス穴を通して引抜加工するときの加工されやすさ。一般に、所定の断面形状に引抜加工するときに表面割れ、内部割れを発生することなく、また、表面の潤滑が良好で表面にダイスきずなどを生じない場合に引抜加工性がよいという。

5248 : 被削性 (machinability)
切削加工するときの削られやすさ。切削抵抗、使用工具の寿命、切削仕上面の程度、切削くずの形状と処理の難易さなどの特性で表される。

5249 : 生引性(なまびきせい) [伸線性] (drawability of as rolled wire rods)
あらかじめ熱処理を施すことなく、圧延のままの線材を引抜加工するときの引抜加工性又は伸線性。
一般に、((原板面積−伸線後の断面積)/原板面積)×100 の大小などで表される。伸線するときの伸線されやすさ、線の引抜加工性を伸線性という。

5250 : 冷間圧造性[冷圧性] (cold headability)
冷間圧造するときの加工のされやすさ。一般に定められた形状に冷間加工するとき、応力割れのない、表面形状のよいものなどは冷圧性がよいという。

5261 : 耐食性 (corrosion resistance)
ある環境における腐食作用に耐える性質。

5262 : 耐熱性 (heat resisting properties)
高温において耐酸化性に優れ、又は高温強度に優れている性質。

5263 : 耐候性 (atmospheric corrosion resistance)
低合金鋼などが自然環境の大気中で腐食に耐える性質。

5264 : 耐酸化性 (oxidation resistance)
高温で酸化に耐える性質。

5265 : 耐クリープ性 (creep resistance)
高温において一定の応力のもとでひずみが時間とともに増加する現象を高温クリープといい、これに耐える性質。

5266 : 耐酸性 (acid resistance properties)
酸による腐食作用に耐える性質。

5267 : 耐海水性 (corrosion resistance in sea water)
海水と接触する環境における腐食作用に耐える性質。

5270 : 耐磨耗性 (wear resistance)
相対運動する金属面の機械的引っかき、金属的粘着などが総合されてその面が損耗する現象を磨耗といい、これに耐える性質。

5280 : 疲れ強さ (fatigue strength)
反復する応力によって生じる破壊に耐える性質。

5281 : 熱疲れ (thermal fatigue strength)
温度変化に起因して発生する熱応力の繰り返しによって生ずる破壊を熱疲れといい、これに耐える性質。

5290 : 焼入性 (hardenability)
鉄鋼を焼入硬化させた場合の焼きの入りやすさ、すなわち焼きの入る深さと硬さの分布を支配する性能。焼入性は通常、焼きの入る深さの大小で比較するが、それには焼入性試験方法(一端焼入方法)を用いるのが便利である。(JIS G 0561 参照)ほかにもシェファードP-F試験、SAC焼入性試験などがある。

5300 : 電磁特性 (magnetic properties)
磁性材料が磁化された場合にその材料が示す磁気的な諸特性。一般的には鉄損、磁束密度、保磁力、残留磁束密度などがあげられる。

5321 : ミルエッジ (mill edge)
鋼板、鋼帯のエッジの一種で、圧延によって自然にできたエッジそのままで切断されていないもの。

5322 : カットエッジ (cut edge)
鋼板、鋼帯のエッジの一種で、最終工程でエッジを切断したもの。切断の方法によって、トリムドエッジ、スリットエッジ、シャードエッジなどと区分していうことがある。

5331 : 標準調質 (-)
冷間圧延鋼板及び鋼帯の調質区分の一つで焼なまし後、形状、表面仕上げ、機械的性質及び加工性を用途に応じて適切なものとするため軽度の冷間圧延を行って得られるもの。

5332 : 硬質 (full hard)
冷間圧延鋼板及び鋼帯の調質区分で、焼なまし後、絞り性以外の加工性を目的として、硬さ調整を行うため冷間圧延を行って得られるもの。硬さ、引張強さなどの区分によって、1/8硬質、1/4硬質(quarter hard)、1/2硬質(half hard)、硬質(full hard)がある。

5341 : ショットブラスト仕上げ (shot blasted surface)
鋼材の表面状態を示し、高速でショットを投射し、表面のミルスケール、さびなどを除去したもの。

5342 : 酸洗仕上げ (pickled surface)
鋼材の表面状態を示し、硫酸、塩酸又はその他の酸溶液に浸せきして、表面のスケール、さびなどを除去したもの。

5343 : ダル仕上げ (dull finish)
冷間圧延鋼板及び鋼帯の表面状態を示し、冷間圧延ロールのはだを一様に粗くし、鋼板の表面を梨地状の光沢のない状態に仕上たもの。梨地仕上げ又はつや消し仕上げともいう。

5344 : ブライト仕上げ (bright finish)
冷間圧延鋼板及び鋼帯の表面状態を示し、研磨した冷間圧延ロールで圧延し、鋼板の表面を平滑で光沢のある状態に仕上たもの。

5345 : NO.1仕上げ (No.1 finish)
熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し、熱間圧延後、熱処理、酸洗又はこれに準ずる処理を行って仕上たもの。

5346 : NO.2D仕上げ (No.2D finish)
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し、冷間圧延後、熱処理、酸洗又はこれに準ずる処理を行って仕上たもの。また、つや消しロールによって最後に軽く冷間圧延したものもこれに含める。

5347 : NO.2B仕上げ (No.2B finish)
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し、冷間圧延後、熱処理、酸洗又はこれに準ずる処理を行った後、適切な光沢を得る程度に冷間圧延して仕上たもの。

5348 : NO.3仕上げ (No.3 finish)
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し、JIS R 6001 の規定による 100〜120番まで研磨して仕上たもの。

5349 : NO.4仕上げ (No.4 finish)
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し、JIS R 6001 の規定による 150〜180番まで研磨して仕上たもの。

5350 : BA仕上げ (bright annealed finish)
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し、冷間圧延後、光輝熱処理を行って仕上たもの。

5351 : HL仕上げ (hair line finish)
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し、適切な粒度の研磨材を用いて連続した磨き目を付けるように研磨して仕上たもの。

5361 : 鋳はだ(鋳肌) (casting surface)
鋳放し状態の表面。黒皮ともいう。

5362 : 余肉 (pads)
鍛造性を考慮して鍛造時に増肉を付けて鋳込み、製品となるときには取り除かれる部分。

5363 : 鍛錬成形比 (forging ratio)
鍛錬作業による変形の大きさの度合。一般には鍛造前の断面積と鍛造終了後の断面積の比に作業種類記号を添えて表される。

5364 : 鍛造効果 (forging effect)
鍛造の目的(成形と材質改善)の一つである材質の強じん化の程度。一般には鍛錬成形比や機械的性質で表される。

5401 : 標準寸法 (preferred size)
使用実績及び標準数列などを考慮してある程度集約化した鋼材の寸法。

5402 : 定尺(ていじゃく) (-)
標準寸法と同義語であるが、通常標準寸法よりも更に集約化された寸法。なお、鋼管、棒鋼、形鋼などは長さに対してだけ用いる。

5501 : きず取り基準 (limited condition of surface imperfections to remove)
鋼材表面に存在するきずを除去する場合の深さ、面積などの限度。手入れの限度ともいう。

5502 : きずの採用限度 (allowable imperfections without repairing)
鋼材表面に存在するきずで使用上有害でなく、きず取り不要なきずの大きさ、数などの限度。

5503 : 残存きずの採用限度 (allowable limit of imperfections after repairing)
きず取り後の鋼材に存在するきずで、使用上差し支えないきずの大きさ、数などの限度。


注(1) とりべ分析値という用語は、なるべく用いないことが望ましい。





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