2006年03月01日

JIS規格 炭素工具鋼鋼材 JIS G 4401:2006/SK105(SK3),SK95(SK4),SK90(SK5),丸鋼,脱炭層深さ,焼なまし,焼入焼戻し,試験,鋼板など

引き続き長井技研ホームページの更新情報です。

資料館』にJISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語 などについて、JIS規格本文の内容を抜粋してまとめました。
今回追加した内容は、

炭素工具鋼鋼材(SK105(SK3)、SK95(SK4)、SK90(SK5)など)

ということで、以下のJIS規格本体の内容をまとめています。

JIS G 4401:2006 炭素工具鋼鋼材 Carbon tool steels

資料館』 の 『3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など』 のコンテンツとして追加しています。
こちらのリンクからどうぞ。

資料館

3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など

JIS G 4401:2006 炭素工具鋼鋼材
Carbon tool steels

JIS規格 『JIS G 4401:2006 炭素工具鋼鋼材』 本文では、熱間圧延又は鍛造によって造られた炭素工具鋼鋼材について規定されています。

詳しくはこちらのJIS規格、 『JIS G 4401:2006 炭素工具鋼鋼材』 からどうぞ。

よろしければこちらもご参考に。

>> 板金加工・精密板金の材料
>> 材料の豆知識

尚以下にも、JIS規格、 『JIS G 4401:2006 炭素工具鋼鋼材』 の内容について記載しておきます。


JIS規格 JIS G 4401:2006 炭素工具鋼鋼材


1.適用範囲

この規格は、熱間圧延又は鍛造によって造られた炭素工具鋼鋼材(以下、鋼材という。)について規定する。

備考: この規格の対応国際規格を、次に示す。なお、対応の程度を表す記号は、ISO/ITEC Guide21 に基づき、IDT(一致している)、MOD(修正している)、NEQ(同等でない)とする。

ISO 4957:1999, Tool steels (MOD)


2.引用規格

次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
JIS G 0415 鋼及び鋼製品 - 検査文書
JIS G 0553 鋼のマクロ組織試験方法
JIS G 0555 鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法
JIS G 0556 鋼の地きずの肉眼試験方法
JIS G 0558 鋼の脱炭層深さ測定方法
JIS G 0565 鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類
JIS G 3191 熱間圧延棒鋼とバーインコイルの形状、寸法及び質量並びにその許容差
JIS G 3193 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状、寸法、質量及びその許容差
JIS G 3194 熱間圧延平鋼の形状、寸法、質量及びその許容差
JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験 - 試験方法
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験 - 試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ張試験 - 試験方法
JIS Z 2344 金属材料のパルス反射法による超音波探傷試験方法通則


3.種類及び記号

炭素工具鋼鋼材の種類は 11種類とし、その記号は 表1 による。


4.製造方法

炭素工具鋼鋼材の製造方法は、次による。

炭素工具鋼鋼材は、キルド鋼から製造する。
炭素工具鋼鋼材は、特に指定のない限り鍛錬成形比 4S以上に圧延又は鍛造する。但し、鋼材寸法の関係から 4S未満となる場合は、据込み鍛錬によって補うことができる。
炭素工具鋼鋼材は、通常、焼なましを行う。ただし、鋼板及び鋼帯は、特に指定のない限り圧延のままとしてもよい。
参考: 鍛錬成形比の表し方は、JIS G 0701(鋼材鍛錬作業の鍛錬成形比の表し方) による。


5.化学成分

炭素工具鋼鋼材は、10.1 の試験を行い、その溶鋼分析値は、表1 による。

表1 炭素工具鋼鋼材の種類の記号及び化学成分 (単位 : %)
(以下、化学成分は省略、 記号と用途例のみ記述)

SK140(SK1):刃やすり、紙やすり
SK120(SK2):ドリル、小形ポンチ、かみそり、鉄工やすり、刃物、ハクソー、ぜんまい
SK105(SK3):ハクソー、たがね、ゲージ、ぜんまい、プレス型、冶工具、刃物
SK95(SK4):木工用きり、おの、たがね、ぜんまい、ペン先、チゼル、スリッターナイフ、プレス型、ゲージ、メリヤス針
SK90:プレス型、ぜんまい、ゲージ、針
SK85(SK5):刻印、プレス型、ぜんまい、帯のこ、冶工具、刃物、丸のこ、ゲージ、針
SK80:刻印、プレス型、ぜんまい
SK75(SK6):刻印、スナップ、丸のこ、ぜんまい、プレス型
SK70:刻印、スナップ、ぜんまい、プレス型
SK65(SK7):刻印、スナップ、プレス型、ナイフ
SK60:刻印、スナップ、プレス型

注(1) 各種類とも不純物として Cu は0.25%を、Cr は0.30%を、Ni は0.25%を超えてはならない。
備考: 括弧書きの (SKX) は、旧JIS の種類の記号を示す。
なお、JISの種類の記号と対応する ISO の記号を 附属書2 に示す。


6.焼なまし硬さ

炭素工具鋼鋼材の焼なまし硬さは、10.2 の試験を行い、表2 による。ただし、ブリネル硬さの測定が困難な炭素工具鋼鋼材については、ロックウェルB硬さ又はビッカース硬さによることができる。この場合、硬さの値は、受渡当事者間の協定による。

表2 炭素工具鋼鋼材の焼なまし硬さ (表は割愛)


7.焼入焼戻し硬さ

10.2 によって採取した焼入焼戻し硬さ試験片に、表3 に示す温度で焼入れ焼戻しを行った場合の焼入焼戻し硬さは、表3 による。ただし、試験片の熱処理温度の許容範囲は、焼入れ処理、焼戻し処理とも表3 の温度±10℃とする。
なお、各種類ごとの標準熱処理温度域を、参考として 附属書1 に示す。

表3 試験片の焼入焼戻し硬さ (表は割愛)


8.外観、形状、寸法及びその許容差


8.1 熱間圧延丸鋼


8.1.1 外観

熱間圧延丸鋼の外観は、仕上げ良好で、使用上有害なきずがあってはならない。


8.1.2 標準寸法

熱間圧延丸鋼の標準径は、表4 による。

表4 標準径 (単位 : mm)
10、 11、 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23、 24、 25、 26、 27、 28、 29、 30、 32、 34、 36、 38、 40、 42、 44、 46、 48、 50、 55、 60、 65、 70、 75、 80、 85、 90、 95、 100、 110、 120、 130、 140、 150
備考: 表4 は、断面形状が円形の線材及びバーインコイルにも適用できる。


8.1.3 寸法の許容差

熱間圧延丸鋼の寸法の径の許容差は、表5 による。

表5 径の許容差 (単位:mm) (表は割愛)


8.2 熱間圧延鋼板及び鋼帯


8.2.1 外観

熱間圧延鋼板及び鋼帯の外観は、JIS G 3193 の 7.(外観) による。


8.2.2 標準寸法

熱間圧延鋼板及び鋼帯の標準寸法は、次による。
・熱間圧延鋼板及び鋼帯の標準厚さは、JIS G 3193 の 4.(標準寸法) の a) による。
・熱間圧延鋼板及び鋼帯の標準幅及び長さは、JIS G 3193 の 4. の b) 及び c) による。


8.2.3 形状・寸法の許容差

熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状・寸法の許容差は、次による。
・熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状・寸法の許容差は、JIS G 3193 の 5.(形状及び寸法の許容差) による。この場合、厚さの許容差の適用は、厚さ160mm未満とし、厚さ160mm以上の場合は受渡当事者間の協定による。
・熱間圧延鋼板の平たん度の最大値は、厚さ160mm未満の鋼板については、表6 による。厚さ160mm以上の鋼板の場合は、受渡当事者間の協定による。

表6 熱間圧延鋼板の平たん度の最大値 (単位 : mm) (表は割愛)


8.3 熱間圧延丸鋼、鋼板及び鋼帯以外の炭素工具鋼鋼材の外観・寸法許容差

熱間圧延丸鋼、鋼板及び鋼帯以外の炭素工具鋼鋼材の外観・寸法及び寸法許容差は、受渡当事者間の協定による。


9.脱炭層深さ

炭素工具鋼鋼材の脱炭層深さの測定は 10.3 によって行い、熱間圧延丸鋼の脱炭層深さの許容限度は、表7 による。丸鋼以外の炭素工具鋼鋼材の脱炭層深さの許容限度は、受渡当事者間の協定による。

表7 熱間圧延丸鋼の脱炭層深さの許容限度 (単位:mm) (表は割愛)


10.試験


10.1 分析試験


10.1.1 分析試験の一般事項及び分析試料の採り方

化学成分は、溶鋼分析によって求め、分析試験の一般事項及び分析試料の採り方は、JIS G 0404 の 8.(化学成分) による。


10.1.2 分析方法

分析方法は、JIS G 0320 による。


10.2 硬さ試験

硬さ試験は、次による。


10.2.1

焼なましを行った炭素工具鋼鋼材の硬さの測定は、炭素工具鋼鋼材の任意の箇所とする。


10.2.2

焼入焼戻し硬さ試験の供試材の数は、同一溶鋼及び同一熱処理条件ごとに1個とする。


10.2.3

焼入焼戻し硬さ試験片は、10.2.2 によって採取して供試材を約15mm角又は丸、長さ約20mmに機械加工する。厚さ又は径が15mm以下のときの試験片は、それぞれの厚さ×約15mm×約20mm又は、径×約20mmの寸法とする。
また、この寸法の試験片の採取が困難な場合には、受渡当事者間の協定による。
なお、焼なましを施さない炭素工具鋼鋼材から供試材を採取する場合には、その焼入焼戻し硬さ試験に 表2 の焼なましを行った後、表3 の焼入焼戻しを行う。


10.2.4

試験方法は、次のいずれかによる。
JIS Z 2243、 JIS Z 2244、 JIS Z 2245


10.3 脱炭層深さの測定

脱炭層深さの測定方法は、JIS G 0558 の 4.1(顕微鏡による測定方法) に従い、測定は、全脱炭層深さ(DM-T) による。


11.検査


11.1 検査

炭素工具鋼鋼材の検査は、次による。
・検査の一般事項は、JIS G 0404 による。
・化学成分は、5.に適合しなければならない。
・焼なまし硬さは、6.に適合しなければならない。
・焼入焼戻し硬さは、7.に適合しなければならない。
・外観、形状、寸法及びその許容差は、8.に適合しなければならない。
・脱炭層深さは、9.に適合しなければならない。


11.2 その他の検査

11.1 に規定する検査のほかに、受渡当事者間の協定によって、次の検査を指定してもよい。
【 マクロ組織検査、非金属介在物検査、地きず検査、磁粉探傷検査、超音波探傷検査、顕微鏡組織検査 】
顕微鏡組織検査を除く検査のための試験方法は、それぞれ次による。

・マクロ組織検査 JIS G 0553
・非金属介在物検査 JIS G 0555
・地きず検査 JIS G 0556
・磁粉探傷検査 JIS G 0565
・超音波探傷検査 JIS Z 2344

顕微鏡組織検査の試験方法は、受渡当事者間の協定による。
なお、供試材及び試験片の採取位置、合否判定基準などについては、あらかじめ受渡当事者間で協定しなければならない。


12.表示

炭素工具鋼鋼材の表示は、炭素工具鋼鋼材ごとに、次に項目を適切な方法で表示しなければならない。ただし、鋼板、鋼帯、平鋼及び径又は対辺距離が30mm未満の棒鋼及び線材は、これを結束して、1束ごとに適切な方法で表示してもよい。また、注文者の承認を得た場合には、次の一部を省略してもよい。

・種類の記号
・溶鋼番号又はその製造(検査)番号
・寸法(3)
・数量又は質量
・製造業者名又はその略号

注(3) 寸法の表し方は、JIS G 3191、 JIS G 3193 及び JIS G 3194 による。


13.報告

JIS G 0404 の 13.(報告) による。ただし、注文時に特に指定がない場合は、検査文書の種類は JIS G 0415 の 表1(検査文書の総括表)の 記号 2.3(受渡試験報告書) 又は 3.1.B(検査証明書 3.1.B) とする。
なお、11.2 についての報告は、受渡当事者間の協定による。


【附属書1(参考) 標準熱処理温度】

この附属書は、本体に関連する事柄を補足するもので、規定の一部ではない。

1.適用範囲

本体の 表1 に示す用途例を熱処理する際に、製品の用途及び寸法に応じて選択する標準的な熱処理温度範囲を 附属書1表1 に示す。ただし、必ずしもすべての条件において、本体の表3 に規定する焼入焼戻し硬さを満足するものではない。

附属書1表1 標準熱処理温度 (表は割愛)


【附属書2(参考) JISと国際規格の種類の記号の対応】

この附属書は、本体に関連する事柄を補足するもので、規定の一部ではない。

1.JISと国際規格の種類の記号の対応

JISの種類の記号と化学成分が同等又は類似の国際規格(ISO 4957:1999) の種類の記号を 附属書2表1 に対比して示す。

附属書2表1 JISと国際規格の種類の記号の対応 (表は割愛)


【附属書3(参考) JISと対応する国際規格との対比表】 (表は割愛)





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