2006年02月28日

JIS規格 ばね用ステンレス鋼帯 JIS G 4313:1996/SUS304-CSP,SUS301-CSP,バネ,試験,調質,帯,硬質,幅,ばね限界値,記号,熱処理など

資料館のコンテンツ充実に努めています。
長井技研ホームページの更新情報です。

資料館』にJISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語 などについて、JIS規格本文の内容を抜粋してまとめました。
今回追加した内容は、

ばね用ステンレス鋼帯(SUS301-CSP、SUS304-CSP など)

ということで、以下のJIS規格本体の内容をまとめています。

JIS G 4313:1996 ばね用ステンレス鋼帯 Cold rolled stainless steel strip for springs

資料館』 の 『3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など』 のコンテンツとして追加しています。
こちらのリンクからどうぞ。

資料館

3.JISに規定される鉄鋼(金属材料)の種類・特性・用語など

JIS G 4313:1996 ばね用ステンレス鋼帯
Cold rolled stainless steel strip for springs

JIS規格 『JIS G 4313:1996 ばね用ステンレス鋼帯』 本文では、主として自動車、電気機器などに使用される薄板ばね、ぜんまいばねに用いるステンレス鋼帯について規定されています。

詳しくはこちらのJIS規格、 『JIS G 4313:1996 ばね用ステンレス鋼帯』 からどうぞ。

ちなみに、冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 のJIS規格はこちらです。
JIS G 4305:2005 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

よろしければこちらもご参考に。

>> 板金加工・精密板金の材料
>> 材料の豆知識

尚以下にも、JIS規格、 『JIS G 4313:1996 ばね用ステンレス鋼帯』 の内容について記載しておきます。


JIS規格 JIS G 4313:1996 ばね用ステンレス鋼帯


1.適用範囲

この規格は、主として自動車、電気機器などに使用される薄板ばね、ぜんまいばねに用いるステンレス鋼帯(以下、帯という。)について規定する。

備考1.この規格の引用規格を、付表1 に示す。
備考2.この規格の関連規格を、次に示す。

* JIS H 3130 ばね用ベリリウム銅,チタン銅,りん青銅及び洋白の板及び条
* ISO 6931-2:1989, Stainless steels for springs - Part2 : Strip
* ISO 9447:1990, Cold-rolled stainless steel narrow strip - Tolerances on dimensions and form

備考3.SUS632J1-CSP の化学成分は、特許No.1093951(昭和57年4月27日登録)及び特許No.1257664(昭和60年3月29日登録)にふれる部分がある。
なお、この規格に記載したことが、工業所有権の所有期限が切れたことを意味するものではない。


2.種類及び記号

ばね用ステンレス鋼帯の種類は5種類とし、その記号及び分類は 表1 による。

表1 種類の記号及び分類
オーステナイト系
SUS301-CSP
SUS304-CSP
マルテンサイト系
SUS420J2-CSP
析出硬化系
SUS631-CSP
SUS632J1-CSP


3.化学成分


3.1 溶鋼分析値

ばね用ステンレス鋼帯は、8.1 の試験を行い、その溶鋼分析値は、表2〜4 による。


3.2 製品分析値

バネ用ステンレス鋼帯の製品分析値は、注文者の要求がある場合に 8.1 の試験を行い、その許容変動値は、JIS G 0321 の 表4 による。

表2 オーステナイト系の化学成分 (単位:%) (表は割愛)

表3 マルテンサイト系の化学成分 (単位:%) (表は割愛)

表4 析出硬化系の化学成分 (単位:%) (表は割愛)


4.機械的性質


4.1 硬さ及び曲げ性

ばね用ステンレス鋼帯は、8.2 の試験を行い、その硬さ及び曲げ性は、表5 による。
なお、曲げ性の場合は、その外側にき裂を生じては成らない。ただし、観察しにくい場合は、拡大鏡(5〜20倍)を用いる。

表5 硬さ及び曲げ性 (表は割愛)


4.2 耐力、引張強さ及び伸び

注文者の要求によって硬さ及び曲げ性に代えて引張試験を行う場合の耐力、引張強さ及び伸びは、表6 による。ただし、耐力及び伸びは、特に注文者の指定のある場合に適用する。

表6 引張強さ、耐力及び伸び (表は割愛)


5.寸法、形状及び許容差


5.1 標準厚さ

ばね用ステンレス鋼帯の標準厚さは、表7 による。

表7 標準厚さ (単位:mm)
0.10、 0.12、 0.15、 0.20、 0.25、 0.28、 0.30、 0.35、 0.40、 0.45、 0.50、 0.55、 0.60、 0.70、 0.80、 0.90、 1.0、 1.10、1.20、 1.40、 1.60


5.2 厚さの許容差

ばね用ステンレス鋼帯の厚さの許容差は、表8 による。ただし、注文者は、厚さの許容差(記号ET)又は厚さの許容差(記号ST)を指定することができる。
なお、厚さの測定箇所は、ばね用ステンレス鋼帯の縁から10mm以上内側の任意の点とし、幅20mm未満の場合は幅の中央部とする。

表8 厚さの許容差 (単位:mm) (表は割愛)


5.3 幅の許容差

ばね用ステンレス鋼帯の幅の許容差は、表9 による。

表9 幅の許容差(単位:mm) (表は割愛)


5.4 横曲がり

ばね用ステンレス鋼帯の横曲がりの最大値は、表10 による。ただし、受渡当事者間の協定によって表10 の数値の1/2まで指定することができる。

表10 横曲がりの最大値 (単位:mm)
幅 長さ1mについての横曲がりの最大値=
幅10以上 20未満:長さ1mについての横曲がりの最大値=8
幅20以上 40未満:長さ1mについての横曲がりの最大値=6
幅40以上 80未満:長さ1mについての横曲がりの最大値=3
幅80以上:長さ1mについての横曲がりの最大値=1
備考: 表10 の数値は、幅(W) と厚さ(T) の比(W/T) が 10以上のものに適用する。


5.5 平たん度

記号ET 又は 記号ST の厚さの許容差のばね用ステンレス鋼帯は、注文者の要求によって、平たん度の試験を行い、ばね用ステンレス鋼帯の圧延方向に対して直角方向の平たん度を、特に取り決めのない限り、8.3によって測定し、その最大値は、表11 による。

表11 平たん度の最大値 (単位:mm) (表は割愛)


6.外観

ばね用ステンレス鋼帯は、使用上有害な欠点があってはならない。


7.製造方法

ばね用ステンレス鋼帯は、冷間圧延を行って製造する。ただし、冷間圧延後 SUS420J2-CSP は焼なましを行い、 SUS631-CSP-0 は固溶化熱処理(1000〜1100℃急冷)を行う。
なお、 SUS632J1-CSP は固溶化熱処理(1000〜1060℃急冷)後、冷間圧延を行って製造する。


8.試験


8.1 分析試験

分析試験は、次による。

(1) 分析試験の一般事項及び溶鋼分析試料の採り方
ばね用ステンレス鋼帯の化学成分は、溶鋼分析によって求め、分析試験の一般事項及び溶鋼分析試料の採り方は、JIS G 0303 の 3.(化学成分)による。製品分析を要求される場合、製品分析試料の採り方は、JIS G 0321 の3.(分析用試料採取法) による。

(2) 分析方法
分析方法は、次のいずれかによる。
JIS G 1211、 JIS G 1212、 JIS G 1213、 JIS G 1214、 JIS G 1215、 JIS G 1216、 JIS G 1217、 JIS G 1219、 JIS G 1223、 JIS G 1224、 JIS G 1253、 JIS G 1256、 JIS G 1257、


8.2 機械試験

機械試験は、次による。


8.2.1 試験一般

機械試験の一般事項は、JIS G 0303 による。


8.2.2 供試材の採り方

供試材は、同一溶鋼、同一調質及び同一厚さのロットごとに1個を採取する。


8.2.3 試験片の数

試験片の数は、供試材1個から試験片1個とする。


8.2.4 試験片

硬さ試験片、曲げ試験片及び引張試験片は、次による。

1. 硬さ試験片は、曲げ試験片又は引張試験片の一部を用いることができる。
2. 曲げ試験片は、JIS Z 2204 の 3号試験片又は4号試験片とし、その長手方向が圧延方向と直角になるように採取する。
3. 引張試験片は、ばね用ステンレス鋼帯の圧延方向に採った JIS Z 2201 の 13B号試験片 又は 14B号試験片を用いる。


8.2.5 試験方法

硬さ試験、曲げ試験及び引張試験の方法は、次による。

1. 硬さ試験方法は、JIS Z 2244 による。ただし、試験温度は 23±5℃を標準とする。
2. 曲げ試験方法は、JIS Z 2248 のVブロック法による。ただし、幅30mm未満又は厚さ1.00mmを超えるものは、この試験を行わない。
3. 引張試験方法は、JIS Z 2241 による。ただし、試験温度は 23±5℃を標準とし、引張強さの測定については、試験片平行部のひずみ増加率が40〜80%min になるような引張速度を用いる。


8.3 平たん度試験

ばね用ステンレス鋼帯の平たん度は、適当な長さに切ったばね用ステンレス鋼帯を定盤上に置いて、ばね用ステンレス鋼帯と定盤とのすきまを測定する。


9.検査

ばね用ステンレス鋼帯の検査は、次による。

1. 検査の一般事項は、JIS G 0303 による。
2. 化学成分は、3.に適合しなければならない。
3. 機械的性質は、4.に適合しなければならない。
4. 形状及び寸法は、5.に適合しなければならない。
5. 外観は、6.に適合しなければならない。


10.表示

検査に合格した バネ用ステンレス鋼帯には、1包装ごとに次の項目を適当な方法で表示する。ただし、受渡当事者間の協定によって、項目の一部を省略することができる。

1. 種類の記号
2. 調質の記号(析出硬化系の場合)
3. 寸法
4. 製造番号又は検査番号
5. 製造業者名又はその略号

なお、厚さの許容差記号 ET又は記号 ST によるものについては、これを明示する。


11.報告

製造業者は、規定又は指定された試験の成績表及び必要によって寸法、数量、納入状態などを記載した バネ用ステンレス鋼の報告書を注文者に提出する。


【付表1 引用規格】

* JIS G 0303 鋼材の検査通則
* JIS G 0321 鋼材の製品分析方法及びその許容変動値
* JIS G 1211 鉄及び鋼 - 炭素定量方法
* JIS G 1212 鉄及び鋼中のけい素定量方法
* JIS G 1213 鉄及び鋼中のマンガン定量方法
* JIS G 1214 鉄及び鋼中のりん定量方法
* JIS G 1215 鉄及び鋼 - 硫黄定量方法
* JIS G 1216 鉄及び鋼中のニッケル定量方法
* JIS G 1217 鉄及び鋼中のクロム定量方法
* JIS G 1219 鉄及び鋼中の銅定量方法
* JIS G 1223 鉄及び鋼中のチタン定量方法
* JIS G 1224 鉄及び鋼中のアルミニウム定量方法
* JIS G 1253 鉄及び鋼 - スパーク放電発光分光分析方法
* JIS G 1256 鉄及び鋼の蛍光X線分析方法
* JIS G 1257 鉄及び鋼 - 原子吸光分析方法
* JIS Z 2201 金属材料引張試験片
* JIS Z 2204 金属材料曲げ試験片
* JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
* JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験 - 試験方法
* JIS Z 2248 金属材料曲げ試験方法


参考: この参考は、本体の規定に関連する事柄を補足するもので、規定の一部ではない。


(1) ばね限界値

記号 ET 又は記号 ST の厚さ許容差のばね用ステンレス鋼帯は、注文者の指定がある場合には、ばね限界値試験によるばね限界値の測定を行い、その値を、参考表1 に示す。

参考表1 ばね限界値 (単位: N/mm2) (表は割愛)


(2) 熱処理条件

SUS420J2-CSP の熱処理条件に対する硬さの概略値を、参考表2 に示す。

参考表2 熱処理条件と硬さの関係 (表は割愛)





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